2016年12月1日木曜日

IR法案審議入り 観光立国観点で“カジノ議論” 法案は喫緊の課題


 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備推進法案がようやく審議入りした。「カジノという賭博を新たに認めれば社会に悪影響をもたらす」というイメージにとらわれている議員が与野党問わずかなりいるが、法案は懸念への対策を講じたうえで観光立国を図るという内容で、本質を理解した議論が求められる。

 根本的な誤解は「カジノが全国の至る所にできるのではないか」ということだ。法案はIRについて「カジノ、会議場、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設などが一体となった施設」とし、その地域の選定は「地方公共団体の申請に基づき国の認定を受ける」と規定している。限定された地域にIRの一部として認められるのであって、日本国中にカジノができるわけではない。

 また、「ギャンブル依存症の人が増える」という懸念がある。これに対して法案は「防止するための必要な措置」を講ずるよう求めている。具体的な施策は法案成立後、1年以内をめどに政府が策定する「実施法」に盛り込まれるが、入場制限やカウンセリング実施などの対策は可能だ。

 次に「反社会的勢力の関与」への懸念もある。法案は「暴力団員その他不適当な者を排除するために必要な規制」を求め、政府が内閣府の外局に「カジノ管理委員会」を設置して厳格な規制を行うことを盛り込んでいる。

 一方、IRの一部としてカジノを合法化することには多くのメリットが想定される。カジノは現在、約140カ国で合法化され、外国人観光客を誘致するツールとして機能している。外国人観光客がさらに増え、日本国内での消費が増加すれば、これほど直接的な成長戦略はない。

 また、法案はカジノの収益の一部を国や地方公共団体に納めることとしている。IRは税金投入に頼らず民間資金で建設される。そのうえでカジノの利益の一部が観光振興や地域発展などに還元されれば、観光立国の好循環が生まれる。

 カジノ実現には、法案が成立しても、実施法の制定から仕組みの構築、施設整備まで少なくとも5年はかかる。外国人観光客数が2020年の東京五輪でピークを迎え、その後の増加を図る施策がない以上、法案は喫緊の課題といえる。いかにマイナス面を排除し、プラス面を引き出すかが政治の知恵、役割のはずだ。思考停止に陥るのではなく、前向きな議論でよりよい結論を導き出すことを期待したい。

【2016年12月1日7時55分配信 産経新聞から抜粋】

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